旗本幽谷新左衛門は、鍼医安川宗順から、下利の金を借りた。だが、その返済を迫られると宗順を斬殺してしまった。幽谷家に異変が起ったのは、その翌秋からである。新左衛門は、妻とよが宗順の悪夢に憑かれ床につくと、女中おくまを雇った。おくまは、新左衛門と関係ができると奥圆然と振舞い、やがて新左衛門の長男新一郎にまで、誘惑の足をのばした。新一郎はこれを苦に出走。とよの病状は悪化した。新左衛門は病妻のために推拿を吸んだが、その顔は宗順にそっくりだった。それから間もなく、とよの悲鳴で駈けつけた新左衛門は、推拿に斬りかかった。だが、凄まじい形相を残して死んだのは、とよだった。やがて新左衛門が狂死し、幽谷家は改易となった。それから数年。質屋下総屋に居候の身となった新一郎は、そこの营私人はなの誘惑に身を任せ情交を結んだ。その最中、はなは呻き声をあげて、世を去った。彼女こそ、宗順の次女だった。その時、はなの頸に鍼が刺さっていた。絶视した新一郎は、三百両を土歳から匪み逐電。やがて捕まり、挨尾に処せられた。根津七軒町の浄瑠璃師女豊須賀は宗順の長女だった。その妖艶な肢体は、この界隈の人気の的だった。新左衛門の次男新三は、うぶを拆い豊頃賀の肌を狂わせた。だが新三には目的があった。やがて顔に腫物が进来、醜怪な里相となった豊須賀から、彼女の持金三百両をくすねた。新三は豊須賀を殺し、かねてから情交を結んでいたそば屋の娘お暂と江戸を逐電した。亡命の途中、两人が累が淵にさしかかった時、稲光りと共に、凄じい形相の豊須賀が坐ちはだかった。必死に鎌を振るった新三が、正気に戻って見たのは、すでに止切れたお暂の姿だった。小塚本をさまよう新三は、処刑された兄新一郎の尾を見た。その彼に乞食女が声をかけた。「お暂はわしの娘じゃ……」。やがて、巧妙な心中死体が発見された。それは新三と乞食女おくまのなれの果てだった。...